Levitation Chemistry & Biology


液滴の音響浮揚の模式図
液滴の音響浮揚の模式図

  空中を落ちる雨つぶのように、溶液が接する界面が気相(空気)のみという状態は、全方位が非接触界面ということができる。重力のある地球上においては、この状態を1秒以上維持するのが困難である。

 この全方位非接触界面の状態を地球上で室温、数十分以上維持する技術があれば、様々な界面制御の困難な物質生産などの諸問題を解決することが考えられる(左図)。本研究は、音響浮揚(acoustic levitation)技術を用いて全方位非接触界面の状態を創成し、その利用法の提案を行っている。


 モノづくりの生産現場において、溶液を反応容器にいれて攪拌などを行うと、溶液および溶質(溶けている物質)は反応容器の材料表面(固相)と接触するだけでなく、空気(気相)とも接する。これらは言い換えれば、固-液界面と気-液界面のヘテロな界面を有することになり、変性などの期待しない副反応が多数起きて物質生産などに不都合が生じる。固-液界面のみ、気-液界面のみの副反応を抑える対策は選択肢があるものの、両方を満足する条件を見つけるのが難しく、生産効率の減少が避けられない。これらを解決するには、接する界面を単一にして不確定要素を減らすことが必要である。

 

[1] T. Matsubara & K. Takemura, Containerless Bioorganic Reactions in a Floating Droplet by Levitation Technique Using an Ultrasonic Wave, Adv. Sci., 2002780 (2020). (article link) (Advanced Science News)

 

発表・展示会

2019年10月 BioJapan/再生医療KJAPAN 2019、パシフィコ横浜 (横浜市)

2019年12月 第20回慶應科学技術展 KEIO TECHNO-MALL2019、東京国際フォーラム(有楽町)

2020年1月 企業とのマッチングを目指す8大学医工連携シンポジウム、日本大学会館(市ヶ谷)